『日本の選択』を読んだ


 大仰な題名の、しかも「レビュー」、ということで警戒しなくても大丈夫です。私はレビューという言葉を読書した感想というような軽い意味でしか使っていないし、この本について何か深遠で的確な評価ができるとも思っていないので。

日本の選択

日本の選択

 読んだ感じとしては、まあ大仰な題名にふさわしい内容。といってもほら吹き男爵のような大仰さがあるというわけではなく、国際社会の中での日本、今後数十年の日本というような。ここに出てくる話の根拠となるデータを追って批判的に検証していくと、それだけでかなり勉強になるのだろうと思った(別に私がこの本の主張に批判的というわけではない)。大学生は夏休みにでもやってみるとすごくいいかもしれない。

 と同時に、そういうデータ(この本の内容を検証できるような、各種の統計などの基礎情報)というのは書籍で持っておいた方がいいのかもしれないと思った。ネットって意外と情報がない、というか偏っているというか。図書館をうまく利用できればリファレンスで足りるんだろうけど(ここはあまり自信がない)。


 本の内容に戻って、これは面白かった。日本の一般のメディアでは、政治的な課題や経済の課題について、イデオロギーが先に立っていて、あまりこの「日本の選択」に出てくるような主張を見かけない。エモットとタスカの2人の共著者の考えに共通して前提とされている事柄が、(それは前提なんだ)というなやや新鮮なところもあった。


 あと、縦書きの日本語でこういうスタイルの対談(というのかな)を読むのは面白い体験だった。内容的にも日本語の感性ではない感じだし、お互いに深い敬意を持ちつつも、意見の違うところは違うと一応しているスタイルもそう。

 タスカの「あとがき」に表れているユーモアにも参った。正直言って帯の顔写真からはタスカにあまりいい印象を持たなかったんだけど、そう感じた自分を恥じた。


 いつもどおり、読んだことのないかたには不親切なレビューでした。もう少し知りたい方は極東ブログ: [書評]日本の選択(ビル・エモット、ピーター・タスカ)をどうぞ。なお、この私の記事はこの段落までは、極東ブログ: [書評]日本の選択(ビル・エモット、ピーター・タスカ)を何ヶ月も読まない状態で今さらっと書いたので、内容が似ている部分は結果的に似たということです。