2006年の5冊を無理に選んだ
chirashino☆ura2 - 今年の○冊をブックマークして、
あとで書く予定, book, 後で読む
とコメントしてからもう半年ちょっと。2007年上半期が終わる前に書いておこうと思います。
本多静六『私の生活流儀』
- 作者: 本多静六
- 出版社/メーカー: 実業之日本社
- 発売日: 2005/07/10
- メディア: 単行本
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明朗闊達な爺さんのナイスな生き様。「ホルモン漬」や「ニュー・レインコート」にややうけ(読んだ人はわかります)。別にいわゆる癒し系ではないのに、読むと元気になります。まったく詰襟の本多か、本多の詰襟かわかったもんじゃないよなー。この爺さん、若い頃は思い詰めて井戸に身投げしよったことをご本人はさらっと書いてすませてるけど、その後吹っ切れたように大活躍。
今時のlifehacksなんぞ……という人はこの爺さんの骨太爆笑実用アイディアたちに触れつつ、愉快に生きていこうじゃありませんか。という気分にさせられる。
本多静六さんの著書は復刊されてシリーズになっており、解説者には自己啓発系のよく知らない方たちもいるので、そういうところに分け入っていくのは別におすすめしません。
V.E.フランクル『夜と霧』
- 作者: ヴィクトール・フランクル,霜山徳爾
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 1956
- メディア: ?
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「読んだことないけどなんとなくこの本のことは聞いたことがある」という人は、漠然と重苦しい印象を持っているかもしれない。でも、ノンフィクションでなく小説でなら、もっと嫌な情景はたくさん描かれているものもたくさんあるし、私はそんなに不快感だけが残るということはなかった。もともと人間は醜いものだしというか。
むしろ、その醜悪で悲惨な状況の中でも、筋を通して生きようとした、あるいはこっそりと親切を届けた人たちのことの方が今では記憶に残っている。そういう、じつはとても爽やかな本。
別にフランクルが聖人だからとかではなく、ということをご本人はその後も一生懸命伝えようとしているのだけど、なかなか。
読んでない人は読んだ方がいいよ。新版の方は読んだことないけど。
V.E.フランクル『それでも人生にイエスと言う』
- 作者: V.E.フランクル,山田邦男,松田美佳
- 出版社/メーカー: 春秋社
- 発売日: 1993/12/25
- メディア: 単行本
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なんというか快感のために生きようとすれば非常に人生はむなしいけど、自分は人生に何を望んでいるかではなく、むしろ自分が人生から何を問われているのか、という視点。むしろそう考えた方が楽だし生き甲斐ありまくり。たとえばグレッグ・イーガンが『夜と霧』やこの本を読んでどこまで相対化できるか見てみたい(あるいはイーガンの苦悩さえほどけるかもしれない)。落ち込んでる時はこの本のことを思い出して支えられます。元気モリモリです、根深いところ(?)から。
ビル・ナーグラー, アン・アンドロフ『ビルとアンの愛の法則』
ビルとアンの愛の法則―60分で読めて、一生離せない本 (講談社プラスアルファ文庫)
- 作者: ビルナーグラー,アンアンドロフ,井上篤夫
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1998/02
- メディア: 文庫
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これはこの年(2006年)、全文タイピングして電子化しました。できるだけ毎日(1日に法則1つ分ずつ)見てる。恋愛などに限定した話でなく、広く対人関係にいい本。アメリカにはこの本が必要で、日本には中島義道が必要で、私にはこの本がとても有益でした。
内村鑑三『一日一生』
- 作者: 内村鑑三
- 出版社/メーカー: 教文館
- 発売日: 2005/12
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私の朝はいつもケロッグのコーンフロスト*1と『一日一生』から!
カンゾー先生序文に曰く、
一日は貴い一生である、これを空費してはならない。そして有効的にこれを使用する道は神の言を聴いてこれを始めることにある。一日の成敗は朝の心の持ちかたによって定まる。朝起きてまず第一に神の言を聴いて神に祈る、こうして始めた日の戦いは勝利にならざるをえない。たとえ敗北のように見えても勝利であることは疑いない。そしてこういう生涯を終生継続して一生は成功を持って終わるのである。
……私はときどき何日分かまとめて勝利してます。ふだんはだいたい毎日勝利してるんですが。
『一日一生』は、聖書の箇所の引用に続いて、内村鑑三の感想とか著書、講演の一部が書いてあるもの。1ページが1日分で、合計366日分。
キリスト教徒は神以外を神格化しないけど、昔生きててもう死んだあるおっさんがこの聖書の箇所に触れてこんなことを考えていたんだなあと毎日教えられています。内村鑑三はなんというか、朝露に濡れた葉や夜空に煌めく星々といった自然への細やかかつ雄大な感性があって、そういうところもステキおっさん。
といったところで5冊そろったので、今年の上半期の私の仕事はこれで終わります。ご紹介した本は四の五の言わずに読むといいさ。別に難しくないよ。人生に損得があるとしたら、今回の5冊を読んだら「あー得した!」とお思いになると思います。そして手元に置いておきたくなーる。