訃報
中尊寺ゆつこさんが亡くなった。
彼女に死が関係あるとは思っていなかった。
死なないと思っていたわけではなく、ただ単に、私の中で彼女は死という事柄と結びつくような人ではなかった。
簡単にいえばショックだ。悲しい驚き。
とくに好きだとか嫌いだなどとは思っていなかった。ただ、そのイラストの存在する日常をなんとなく受入れていた。ある時代を象徴してもいた。
ただ、彼女の死についての自分の受け止め方も不思議な感じがする。うまく言えないけれど、その受け止め方を考えても……いや、年齢の問題じゃないな。不思議な感覚にうたれた。
みんな死ぬんだなあというだけでもない、また違う。変に悟ったような具合だが、「変に」といっても、悪い悟り方ではないように思える。
なんというか。ただ、この空虚な感じをかかえて生きていくんだろうなと思う。だんだん慣れてきた。別に寂しいというわけでもない(格好をつけていうのではなく)。でも、ああ、亡くなったんだなあ。