元気になれる本を選りすぐってみました
「夏に読みたいこの一冊」という企画や「夏休みの100冊 〜teenager books〜」というリストにちなんで、私もお薦めの本のリストを作ってみようかと考えています。
「元気になれる本」これでいきます。
と予告していましたが、リストが完成しないまま公開できないでおりました。きちんと揃うことよりも知っていただくことが大事だと考えたので、拙い紹介文で数も少ないのですが、まずは掲載します。ぜひ参考になさってくださいね。(順番の意味はとくにありません。)
谷川俊太郎『これが私の優しさです』
(ISBN:4087520358)
詩のスタンダードとはこの人の詩でしょう。伸びやかでモデレートな詩が、優しく、悲しく、楽しく、透明な気持ちを思い出させてくれます。収録されている「朝のリレー」はコーヒーのCMにも使われましたね。
佐野洋子『がんばりません』
(ISBN:410135412X)
佐野洋子さんの温かいまなざしは、近ごろよくあるようでいて、意外と貴重なのかもしれません。もてなさやつらさといった具体的な体験を、彼女が笑い飛ばしたり布団にくるまったりしながら乗り越えてきたことが伝わってきます。
インターネットで「ダメ」な人のテキストサイトを読むのが好きな人には、とくにお勧めしておきます。
ダニエル・キイス『アルジャーノンに花束を』
(ISBN:4152020075)
広く流通しているのは後に長編として書き直された改訂版(ISBN:4152033932)ですが、元々の中編(ISBN:4152020075)の方が物語として完成していると感じます。改訂前の版は『心の鏡』という中・短編集(ISBN:415110108X:415207826X)にも収録されていますので、『心の鏡』で探した方が一般書店からは入手しやすいかもしれません。
主人公が淡々と綴る日記(経過報告)を通して、劇的な変化の前後でも変わらない主人公の優しさが、読み手の心に残ります。小尾芙佐(おび ふさ)さんの、たいへん優れた翻訳も光ります。
ミヒャエル・エンデ『はてしない物語』
(ISBN:4001109816)
物語が持つ驚異と楽しみと力をふんだんに与え、しかもそれにおぼれる危険を警告し、そしてそこから現実に立ち戻っていく大きな勇気を与えてくれます。いま私はサラッとすごいことを書きました。
小説に限らず映画、音楽、絵画、漫画などすべてに共通するテーマなので、ふだん本を読まないかたにも強くお薦めします。ぜひ文庫でなくハードカバーでお読みください、理由は読めばわかります。Amazon.co.jpの読者レビューでも、「この世にあって失われてしまいがちな生命力を呼び覚ます真の書です」「子どもだけでなく大人も楽しめるハズ!わたし的にはハリー・ポッターの10倍は面白いです☆☆」「一生忘れ得ない珠玉の名作」と絶賛されています。
ロバート・A・ハインライン『夏への扉』
(ISBN:4150103453)
こちらについては既にレビューしました。今月10日に書いた記事「『夏への扉』を再読しました」をご覧ください。
なお、他にも優れた作品はたくさん知っていますが、今回は「元気になれる本」という観点から絞ってご紹介しました。またそのうち他にもご紹介する機会があると思います。