オーストラリアは偉かった

時事ドットコム:アフリカ難民、受け入れ大幅減=社会になじめず犯罪増加−豪



政府はここ数年、アフリカ難民の受け入れを積極的に増やしてきた。全体の難民受け入れ数は年間約1万3000人だが、このうち、アフリカ系の割合は2003、04年に7割に達し、05年も6割だった。国別ではダルフール紛争が続くスーダンからの難民が半分以上を占める。

 そもそもの難民受入れ数が、少なくとも日本と比べたらかなり大きい。日本は?と調べて国内における難民の受け入れ | 外務省を見てみた。



昭和57年の難民認定制度導入から、平成18年末までの申請数は4,882件で、うち難民と認定されたものは410件、不認定は3,162件となっています。

 昭和57年(1982年)から平成18年(2006年)までの合計で、認定件数は410件(いわゆるボート・ピープルを除く)。

 件数というのが人数と同じかどうかわからないし(家族単位の審査もあり得る)、もっとわかりやすいページはないかと探したらhttp://www.refugee.or.jp/refugee/stat/jp.htmlがあった。

 各国間の比較は難民認定 - Wikipediaにある。日本での難民申請者に対する扱いはひどいな。毛布で簀巻きにして強制送還とか。

 ちなみにオーストラリアの人口は約2000万人。難民受け入れまくり。

 日本もオーストラリアなみに難民を受け入れるべきだ、という主張をしたいわけではない。オーストラリアではそれなりの弊害も出ているようだし。時事通信の記事中にはアフリカ系市民が犯罪を起こすなどトラブルも多くとさらっと書かれているが、この背景には、偏見で見るまいとするオーストラリア市民、暴力の中から逃げ出してきたアフリカ系市民、偏見で見るオーストラリア市民、様々な人々の間の相互の関与と時の経過がある。そして犯罪の個々の被害者には、たぶん以後ずっと痛みと怒りと偏見が刻まれ、てもおかしくない。

 でもオーストラリア政府としては、そうした弊害もある程度想定に入れて、難民を受け入れるという決断をしているはず。そのアフリカ人が国外に出られないままに迫害を受ける危険*1と、オーストラリアに来て犯罪を(オーストラリア人に対して)犯す危険を比べて、「この人はオーストラリアに来て犯罪を犯すかもしれないけど、それでもオーストラリアで保護します」と判断したということ。

 今回アフリカからの難民受け入れを大幅に削減するとはいえ、オーストラリア偉いなあ。

 私は日本に住む日本人なので、では日本としては、あるいは日本人としては、何ができ、何をすべきなのか、とちょっと考えた。
 こういうお国柄だから、難民認定件数を急激に増加させるというのは(私としてはそれを望むとしても)あまり現実的な方策とはいえないし、外国人に対する排斥の動きが大きくなって、むしろその後の支援策を難しくさせるだろう。(追記:ただ、中津江村的な方法は小規模にであれば十分可能とは思えるんだけど。)
 では、どうするか。自衛隊の派遣というのもひとつ考えられるけど、これまでのそうした例については(隊員たちの努力にもかかわらず)憲法上・政治的な制約のせいで、どの程度実効的な関与ができたのか疑わしい。
 では外交的な関与はというと、これは他のプレーヤーとの関係もあり、今の状況でどの程度何ができるのかわからない(意外とけっこう影響力の行使ができるのかもしれないけど、わからない)。

 以上はしょせん素人考えではあるけど、まあ少なくとも私が一介のあほとして関心を持っていることを表明することはマイナスにはならないだろう。たとえば我が家に1人難民を迎えるよりもずっと簡単だし(そしてもしかしたら効果は大きいし)、と思って少し肌寒い休日の夕方にこうしてタイプしているのでした。
 みなさんも引き続き関心を持ってスーダンダルフールでの大量虐殺の行方に関心を持ち、そのことを表明なさるといいと思います。

*1:「難民」の定義は国内における難民の受け入れ | 外務省に書かれている