映画「トラフィック」
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ただ、
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何年も前に観た作品になるけど、
「トラフィック」
- 出版社/メーカー: 東宝ビデオ
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アメリカを揺るがし続けて久しい麻薬犯罪コネクション。そのルートのもとであるメキシコで、組織に翻弄(ほんろう)されながら職務をまっとうしようとする捜査官(ベネチオ・デル・トロ)、アメリカで麻薬ぼく滅に乗り出す国家の責任者(マイケル・ダグラス)と麻薬におぼれるその娘、また夫を救うために麻薬ルートに手を染めざるをえなくなっていく妊娠中の専業主婦(キャサリン=ゼタ・ジョーンズ)などなど、多彩なドラマを同時並行させながら、麻薬戦争の全貌を追うスティーブン・ソダーバーグ監督の問題作。
トラフィックというのは車の交通ではなくて麻薬の流通過程のこと。
複雑で絶望的な現実を、複雑で絶望的なまま淡々と描いている作品。だからこそその描写には説得力があり、またほのかな希望も見える。
映画の終盤に「報酬はいらない、その代わりスタジアムに夜照明を点してくれ」というようなやりとりがあったのを憶えている。子どもたちが夜行くところがないから犯罪に手を染める、遊び場を確保したい、という意味のことを言っていた。
そう頼んでいたのは、たしか醜く太り気味で眼に生気のない捜査官。人間的な魅力はあまりないが、それでいいと思う。ものごとを判断するとき、人の人間的な魅力にのみ注目して行為の善悪や当否を軽視する人たちもいるが、自分が他人の眼にどう映るかなどあまり気にせずにやるべきことを地道にし続ける人たちが社会をなんとか支えているのだと思う。