『夏の庭』と荒井由実「ひこうき雲」

 そういえば荒井由実の「ひこうき雲」を聴いた。たしかユーミンのデビューアルバムだったかと思う。

ひこうき雲

ひこうき雲

 アルバムと同じ名の曲が初めに収録されている。二度、三度と聴いた。


 はてなダイアリー開設にあたって名前を「夏のひこうき雲」とつけた。そのこともあり、先日『夏の庭』を紹介した際に(次にユーミンの「ひこうき雲」を聴いてみよう)と思っていた。

夏の庭―The Friends (新潮文庫)

夏の庭―The Friends (新潮文庫)

 聴いてみてわかったのだけど、『夏の庭』「ひこうき雲」どちらも、死がテーマだった。
 ここで対比などして饒舌に語るのも気が進まない。歌詞の引用は何かとJASRACがらみで面倒ということもある。

 ただ、二つの作品に共通する、ある人の死を穏やかに見つめるまなざしのことは書いておきたい。
 死んだから何か美化されるべきものでもない。人の内面などわからない
 けれど人間はいつか死ぬということが身近に具体化した、その事実を契機として、ある不思議な視線を持つに至る場合も、ある。
 その視線は死者にのみ向けられるわけではない。死の先にある夏の高い空、ひこうき雲として残る記憶の中の死者、コントラストとして浮かびあがる生の決定的な有限性とみずみずしさ。


 両作品に共通するそんな視線のことは、書いておこうかと思った。