はてなの住所登録について

[Study] 標本調査 -- はてなの住所登録のはがき150枚はどれくらい少ないのか香雪ジャーナルで知りました)

 結論としては、「それほど少ないわけでもない」と理解しました。


 テーマとは少しずれますが「統計学上有意な差」とはいったいどうやって求めるのか、昔から気になっていました。一つの例としておぼろげにプロセスがわかった気はします。

はてな住所登録についての私自身の考え

 現時点での率直な感想を言うと、TSUTAYAとかほかの業者に流してほしくないなあ、というところ。ほかの点ではまあアリだと思って登録していたんだけど、ジョージ・オーウェルの『1984年』を連想してしまう。

 言動、思想を含めた個人情報が完全に把握される、全体主義的な監視社会が実際に出現するとしたら、その監視の主体は国家ではなく、主に企業だろうな。そして人々は自分の情報を「自発的に」提供すると思う。利便性のために。圧倒的にデメリットの多い別の選択肢群を提示されて、その中から自ら選んだように錯覚しながら。企業体自身も、利潤追求という市場からの圧力ゆえに、個人の情報と言動を把握する方向に進まざるをえなくなる。
そして把握された情報を元に、パーソナルな献立が組み立てられ、「もっともふさわしいもの」が提供され、「よりよい」消費者、「よりよい」国民としての教育がなされていく。つまり企業や国家にとって扱いやすく都合の良い、言いなりになりやすい人間へと変容させられていく。しかも「自発的に」。


 今回の件は、上記のようないわば悪夢のような未来とはいったん切り離して考えていますし、はてなスタッフの方々はおそらく個人的には信頼できる方々のような気がします。私もとくに引っかからずに、いったん住所を登録しました。
が、TSUTAYAとの提携を知って何となく今後の方向性が見えてきたように感じられたので、住所登録は削除しました。


 違法な行為への事前の抑止力として、また事後の責任追及の手段としての住所登録という発想には反対しません(十分に実効的ではてなユーザーに負担の少ない手段が、他にもあるとは思いますし、他の手段をまず検討すべきだとは思いますが)。
 しかし、住所によって個人が特定できる形で、個人情報を商業的に利用することには反対です。そして、他の企業のサービスと共有していくことにも(その形態については議論の余地がありますが)反対です(個人の言動、思想を含めた把握がいっそう容易になり、またその情報の恣意的な利用への誘惑がいっそう高まるので)。


 現時点での結論として、はてなへの住所登録に関するパブリックコメントの募集についてに提示された検討案の「3」を採るべきだと考えています。
(「2」でよいようにも思えますが、上に書いた利便性のために。圧倒的にデメリットの多い別の選択肢群を提示されて、その中から自ら選んだように錯覚しながら。というあたりの視点から、「2」には、ある種の見えづらくかつ重大な危険を感じます。)


 なんか表現が拙いので公開をためらいますが、まとまらないなりに私の現時点での考えということで、はてな住所登録パブリックコメントトラックバックを送ります。

 スタッフの方々にとってたいへん悩ましい問題だと思いますが、よい形で解決できるといいですね。