スーダン

スーダンの状況について追記します。*1

スーダン・ダルフール虐殺問題と日本、そして日本のブロガー経由で発見した「ダルフール紛争」というページが、経緯や現状を把握する上でたいへん参考になります。

関心のある方は目を通していただきたいのですが、私なりに短く要約すると

  1. 紛争の起源
    • スーダンダルフールにはアフリカ黒人系民族とアラブ系民族がいる。いずれもムスリムイスラム教徒)である。
    • フール人やマサリート(黒人系)は定住農民であり、ザガウェ(黒人系)とバッガーラ(アラブ系)は遊牧する牧畜民である。このため土地・水などの資源を巡り、二つのグループに分かれて紛争が生じた。
    • ムスリムの政府軍と、スーダン南部の非ムスリムの黒人系諸民族との和平協定は、石油収入を分け合うことで合意したものである。この合意について、ダルフール地方の活動家は黒人系に対し公正でないと感じ、政府軍と施設を攻撃した。
  2. 紛争の経過
    • スーダン政府は攻撃を受けたことについてダルフール出身の政府軍兵士を疑った。政府はアラビア系民族の民兵ジャンジャウィードを支援した。
    • 国連の監視チームによれば、ジャンジャウィードの攻撃対象になっているのはアフリカ系の村落である。アラブ系の村落は攻撃されていない。
    • 紛争の双方が民間人に対する大量虐殺・略奪・強姦を含む人権侵害に関与したとして非難されている。が、武装で上回るジャンジャウィードが優勢となり、数千人(ほとんど非アラブ系)が殺され、100万人以上が家を負われた。10万人以上が隣接するチャドに流れ込んだ。
    • 独立系の監視者は数十万人が援助から切り離されていると警告している。ブリュッセルに本拠を持つ国際危機グループは飢餓と疾病により35万人以上に死の危険性があると報道した。
    • スーダン政府は物資などの支援を求めながら、「東アフリカの国の内政問題に干渉しないように」警告し、自らがどんな軍事援助も拒絶するだろうと語った。
  3. 国際的な反応と対応
    • 災害は重大であり、国連事務総長のコフィ・アナンによって「ぞっとさせられるぐらいに現実的な」大量虐殺の危機として警告されるに至っている。
    • しかしながら、国連自体およびブッシュ政権ダルフール紛争を大量虐殺と認定していない。大量虐殺であるとすると、国際法により他の国々が介在することが可能であると考えられるからだ(介入を躊躇あるいは牽制しあっている)。
    • 7月30日に国連はジャンジャウィード武装解除するため、スーダン政府に30日の期間を与えた。期限内に武装解除しない場合は制裁を考慮すべきという意図とみられる。アラブ連盟は、スーダンがもう一つのイラクになってはならないと警告する(他国の過度の介入や、国際的なテロリストの巣窟となることを避けなければならない、との意か)。

以上の要約文の文責は、私summercontrail(左近)にあります。


なお、これまでいくつかの文献に触れてなんとなく私が得た感触を書くと、

  • 石油資源が豊富なため、他の各国が介入して武器や資金面で援助を与えていることが理由で被害の程度が著しく拡大している。
  • 中国やフランスが絡んでいるように思える。中国は消費の拡大に伴い石油の確保に過度に必死になっているため、フランスはアフリカの旧宗主国として、また国内の軍需産業のためもあって関与している。

この感触は確実な根拠を提示できない、あくまで漠然とした印象であることをご理解ください。

*1:はてなダイアリー(このサイトが利用しているサービス)の仕様上、既に書いた記事に追記するとトラックバックに関して意図しない問題が生じるので、新たな記事の形で追加していきます。