クリストファー・プリースト『双生児』
さっき読んだ。
- 作者: クリストファープリースト,Christopher Priest,古沢嘉通
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2007/04
- メディア: 単行本
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ぶ厚い。電話帳に近い厚さ。
SFとして知って買って読んだのだけど、カタルシスみたいなものはない。むしろもやもやした気分になる小説だった。
この種のもやもやはまさに小説、という気もするんだけど、こういう文学のテーマになる類の苦悩というのは、できれば避けて通りたい。……と書くと婉曲語法なせいで、意図と文がずれる気はするんだけど。むしろ、私の場合そういったものからの逃避で本を読んでいるようなところがあるので。
複線の伏線が覆水盆に返ってるし、ってうまいこと言って気を紛らわせておきたい。
無神論とカトリックの"べた"な戦い
antonianさんがアメリカのカトリックは馬鹿か? - あんとに庵◆備忘録で私のはてなブックマークを紹介してくださっていました(反応するの遅っ→私)。
何かというと、http://wiredvision.jp/news/200712/2007120720.htmlという記事の話。
このニュースについては、私はアメリカ人はべたに活動するなあというような印象を受けました。良くない作品だから観るのは止めろと言うのは当たり前、みたいな(そういうシンプルな考えなんでしょうね)。
自分たちはある程度の影響力のある"お上"だから自重して泰然としておこうとか、無視することで懐の深さをアピールするとか、そういう配慮やテクニックがあんまり念頭にないんじゃないかと。お互いフラットな地平にいると思ってるんじゃないかな。
たぶん、これが日本だと、「お上」は何も言わないでいるべき、「お上」でない側は自由に好きなことをしたり「お上」の悪口を言ってもいい、という暗黙の規範があるような。山本七平がいう虚のエネルギーとしての天皇制
を思い出しました。
- 作者: 山本七平
- 出版社/メーカー: ビジネス社
- 発売日: 2005/02
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あと、思想や、それを伝える作品の持つ力を(Pullmanさん側もカトリック側も)お互い知っているから、こういう争いになるんでしょうね。日本だとそもそも価値観という基本的なレベルで異質なものがあると思っていないので、争いをする必要があるなんて感じないのだろうと思います。
なんか話が面倒なほうに広がってしまったので、レスをさせるのが申し訳なくて、antonianさんのコメント欄でなくて自分とこで書いときます。