藤井輝明さんのこと

 ふとしたきっかけで、藤井輝明さんのことを知り、ネットでなんとなく検索してあちこちのページを見た。結構な衝撃を受けた。衝撃の内容は後で書く。

 顔の右側に海綿状血管腫という病気を患っている方だ。顔に唾を吐きかけられたりもしたという。これまで心無い扱いを受けてきたお気持ち、お察しします、というだけでなく、逆境にも負けずとても優秀な人なんですね。顔の右側に目が奪われるが、よく見るうちに、柔和な表情に感銘を受ける。

http://www.hokenkagaku.com/ 左のアドレスに、藤井さんの大きな顔写真が載っている。
特集 このアザは、ぼくの大事な宝物で、藤井さんは以下のように述べている。

海綿状血管腫の患者さんは、全国に約2万人いますが、世間ではほとんど知られていません。まだマイノリティーとして認知されてもいない段階なのです。それは患者さん自身が家の中でふさぎ込んでいて、ほとんど外へ出ようとしないからです。

この病気だけでなく、障害を抱えている人は「外に出ると人から後ろ指をさされるんじゃないか」と不安でいっぱいだと思います。でも、人と出会って話をして自分のことを伝えていけば、それだけで世界が広がります。それは本当に楽しいことですし、もっと学びたい、もっと世界を広げたいという欲求が湧いてきます。時には理解されないこともあるでしょう。でも、自分をわかってくれる人は必ずいます。少しずつ結果を出していけば、自信にもつながります。そして、夢や希望を持てば自己肯定感が高くなります。「わたしの話を聞いてくれる人がいる」と感じる。それだけで自尊心は満たされ、「生きていてよかった」と思えるはずです。

お互いにふれ合い、感じ合い、理解し合える社会にしていく。そのためにも勇気を出して、外の世界へ踏み出してみてください。みなさんがその第一歩を実現できるように、わたしはこれからも社会に向けてメッセージを伝え続けていくつもりです。

 藤井輝明さんが著書やあちこちでご自分の顔写真を出しているのも、そうした方々を励ます意味があってかもしれない。少なくとも同病の方は励まされるだろうな。


 話は前後する。著書の一つ『この顔でよかった』には、

私は今、もし生まれ変わるのなら、また「血管腫のある藤井輝明」でいいな、と本気で思っています。

という下りがある。他の文からしても、本気でそう思っているのだろう。そのことに、発見のような疑問のような思いに打たれ、1時間ぐらいずっとこの著者のことを検索することとなった。

この顔でよかった

この顔でよかった

 就職を考え大学ではオール優をとったという。経歴からしても聡明な方だということはわかる。もちろん、元々生まれ持った能力だけでなく、苦しみの中でそういう優秀さを勝ち取っていったことはご本人の尊い努力の賜物でもあるだろう。
 ただ、そういう方がこのような病気を持ってこういう生き方になっていったというのは、一つの必然だったのかもしれないとも少し思う。あちこちに分かれ道があったけれど、振り返ってみれば「こうでしかありえなかった」という道。もちろん、これは私の想像でしかない。

 私は、生まれ変わってもまた今のような人生でいいと思えるだろうか。残念ながら、思えない。そのことで親にすまなく思うが、思えないのは仕方ない。現状については神と人とに感謝しているが、辛かった長い時期をもう一度繰り返したくはない。もう少しうまく乗り越えられるとも思えない。
 他方、藤井輝明さんは、生まれ変わってもまたこの自分でいいと本気で思っている、と言う。この違いは何だろうか。多分、今後も長く藤井輝明さんのことが心に残り続けるだろう。