台湾が世界保健機関(WHO)の年次総会に参加できることになった

 オブザーバーとしてではあれ、よかった。

 ニュースの見出しを見てよかったと思った後、各記事の本文を読んで、以下の引用部分の視点に逆に軽い驚きを感じた。参加が実現しなかった理由としては当然なのだけど、参加できて当然という私の頭からはやや薄れていた視点だった。


台湾が1971年に国連を脱退してから、国連機関の会合に参加するのは初めて。


台湾が年次総会に参加するのは1972年にWHOを脱退して以来37年ぶり。水面下で中国と進めていた交渉が実った。中台関係が対立から融和に向かう中で、台湾の国際機関への参加を中国側が容認した形だ。

 つまり〈国際機関に参加できるのは独立の主権国家のみである〉というドグマのせいだったんでしょうね。97年から台湾は毎年、年次総会への参加を申請してきたが中国の反対で実現しなかったらしい。


 03年に新型肺炎「SARS」がまん延した際、WHOに加盟していない台湾は情報入手の遅れから、死者が70人を超えた。新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)の感染が拡大する中でオブザーバー参加が決まり、世界の感染症対策へのアクセスが容易になった。

 単純に人道問題として、そういう扱いは許されないだろと思う。大規模な感染症への対策はグローバルに行なわないと実効性がひどく低下するだろうから、他の国・地域の人々のためにも参加を認める必要があった。

 日経によると台湾は、国際赤十字パレスチナなどに続く7番目のオブザーバーとなるらしい。


中国衛生省の毛群安報道官は29日、「(決定は)我々の台湾同胞に対する善意と両岸(中台)関係の平和的発展に向けた誠意を体現したものだ」とする談話を発表した。

 談話全体は読んでいないが、人命にかかわる問題だという視点に言及されていない。善意誠意は何に向けられるべきかが重要だと思う。間違ったものに向けられたものは、もはや善意や誠意とは呼べない。

 ともあれ、よかった。