その後の親指シフト状況
多くの方から反響をいただいた、親指シフト、おすすめします - 夏のひこうき雲の続編です。
私は勝間和代さんの著書
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もともと私はローマ字入力では、
ぐらいの速さでタイプしています(最高記録ではなく、最新の記録)。そのローマ字入力のときよりも、体感としては親指シフトで入力する方が速いですね。正確にいうと、早く入力し終わります。
上記のローマ字でのタイプの速さは、e-typingでは"Ninja"というレベルにあたるらしいので、まあ速いほうかなと自分では思っています。
現在の親指シフトでの入力速度は、いま新聞記事を素材にして2、3回測ってみたら、1分間にだいたい40〜100文字程度でした。漢字変換や誤りの訂正のための時間を含めて測りました。平仮名も漢字も同じく「1文字」としてカウントしています。毎回別の記事を用いたのですが、測るたびに速くなりました。
以下、次の項目について書いておきます。
1. 私の環境で発生した問題への対処法
2. 親指ひゅんQの設定
3. 親指シフトに向いているキーボード
4. キーの配置を「おぼえる」ために
5. 最後に
1. 私の環境で発生した問題への対処法
前回の記事親指シフト、おすすめします - 夏のひこうき雲からほぼ半年。
書くといっていた続編を書かずに何をしていたかというと、ひとつには、Ctrlキーが押されっぱなしになった状態の検証をしていました。
私はパソコン数台に親指ひゅんQを導入しているのですが、そのうちの一台で、キーを押したときの挙動がおかしくなるときがあります。「s」キーを押すとテキストエディタで上書き保存されたりするので、どうも、Ctrlキーを押し下げたままのような状態になっている模様。
キー入れ替えのためのソフト「KeySwap for XP」を使うのをやめると、頻度は減ったようなのですが、相変わらず続いていました。ユーザー補助のオプションも確認したりしたのですが、とくに変わらず。
再起動すると正常になるので、少し不便に感じながらも、タイピングの楽さ・速さには変えられないと判断して親指ひゅんQを使い続けていました。(そういう状態になったときには、編集中のファイルはマウスを使って終了させていました。)
……で、結論から言うと、解決しました。なぜそういう状態になるのかは相変わらず不明ですが、そうなったときには、左Ctrlキーを続けて3回押すと正常な状態に復帰することがわかりました。3ヶ月ほどそういう対処をしていますが、それで直らなかったことがありません。前回の記事でおすすめした責任を感じていたのですが、対処法がみつかってほっとしました。
なお、身近な人にも親指ひゅんQとATOKを併用した親指シフト入力を勧めたのですが、その人は、私が使っているのと同じメーカーのほぼ同時期に発売されたパソコンを使っているけど、そういう状態(Ctrlキーが押しっぱなしのような状態)になったことはないという話です。ネットでも探してみたのですが、他に私のような体験をされたかたの話を見聞きしたことがないので、環境によるのでしょう。それほど心配はいらないと思います。
2. 親指ひゅんQの設定
「親指キー」に設定するキーを変更しました
左の親指シフトキーは、キーボードの形状によってはスペースキーに設定してもいいですが、初期設定どおり「無変換」キーのままの方がいい気がします
と前回書きましたが、その後、スペースキーに設定し直しました。
無変換キーとスペースキー、どちらを親指キーに設定するかというのは、使っているキーボードのキーの位置(とくにスペースキーの長さ)にもよると思います。左手の親指の位置が楽なほうを選ぶことになりますが、あまり親指を曲げないといけないようだと疲れやすくなるので、ご自分のキーボードのデザインと相談しながら、使いづらいと思ったらときどき変更して様子を見てみてください。
「タイミング」の数値について
ここは入力した文字が画面に表示される速さにも関係するので、体感上もけっこう重要なところ。個人的には、「簡易ロジックを使う」にはチェックせずにおき、だんだん早くタイプできるようになってきたと思ったら、
- 文字 -> 親指検出許容
- 親指 -> 文字検出許容
の数値を少しずつ少なくしていくといいのではないかと思っています。
このあたり、インプットしたら激しくアウトプットしてヴィクトリー!! | 親指シフト:同時打鍵という最初の壁という記事のコメント欄に、「かえで(yfi)」さんという方が
などなど書かれているので、そちらをご覧になったほうがわかりやすいと思います。
検出許容の数値は、両方共に【1÷(一秒間で入力できる文字数)×500】程度に設定すると、おおむね過不足なくシフトがかかるようになると思われます。
練習初期に900ms近傍で設定するというのは、おそらく妥当な判断でしょう。
3 親指シフトに向いているキーボード
キーを押すときの力は軽く、でも、(あ、これ以上押すと入力として認識されるな)(あ、今認識された)というクリック感が確実にあるキーボードのほうが、親指シフトで入力しやすいと感じています。親指シフトには同時押しがあるせいかもしれません。
そういう意味ではThinkpadのキーボードは、やや重いと感じる機種もあります(そう感じなかった機種もありましたが)。
また、意外とNECのノートパソコンのキーで打ちやすかったので驚きました。サイズが違うので単純な比較にはなりませんが、Panasonicのノートより個人的には打ちやすく感じました。
具体的な機種の名前を書かないのは、一応セキュリティ上ということでお許しを。
外付けのキーボードではRealForceのキーボードを使っているのですが、親指シフトでのタイプに最適かときかれると、よく分かりません。ただ、ハンドレストを高くして、後ろを高くしないで打つとかなり入力しやすく感じます。
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4. キーの配置を「おぼえる」ために
これは人によって違うかもしれませんが、私は視覚的なキーの位置と、親指シフトでどのキーを押したらどう入力できるかということはあまり結びつけて憶えていません。
たとえば「『ら』ってどのキー」?と尋ねられても、目で見て「このキー」と自信をもって即座に指し示すことはできません。でも実際に「ら」を押すのは即座にできます。
……どうしてかというと、たとえばローマ字入力の場合、キーボードにアルファベットが印字されていますよね。だからローマ字入力でのタッチタイプを習得するまでは、キーボードのキーをみながら一押しずつ押していく。
でもそれと違って親指シフトだと、そもそもキーボードをみても、「親指シフトの場合、どのキーを押すとなんという平仮名が表示されるか」ということは全然わかりません(専用キーボードなら話は別ですが)。だからこういう憶え方になったのかもしれません。私は弦楽器だけでなくピアノを弾くときも、眼ではなく手・指の位置関係とその順序で憶えているようなので、ある曲を弾けるようになるとほぼ目をつぶっても弾けるのですが、それとも関係しているような気がします。
何が言いたいかというと、指使いを図として視覚的に憶えようとする必要は、じつはとくにないのではないか。入力しようと思ったときに入力できるようになっているという境地を目指して、ただ入力を繰り返していれば自然と指が憶えるのではないか、ということです。
その意味では、ある程度まで練習したら、別に配置図の画像は見なくてもかまわないと思います(もちろん、見てもかまいません)。特定の言葉を入力したいとき、(あれ、これだっけ?これだっけ?)とちょっと迷って入力しては消し、入力しては消しして発見してから、指の動きの一連のパターンとしてその場で一度復習すれば、けっこう憶えられます。
ただ、たとえば「ぁぃぅぇぉ」は、ただ文章中に出てきたときに入力するだけではなく、指使いを「ぁぃぅぇぉ」の順番にタイプしてみると、一定の規則性のような形で頭に入りやすい気がします。「ぱぴぷぺぽ」も。
親指ひゅんQを導入している環境で、「NICOLA仕様配列」に記載されていない文字
- 「|」は、「へ」と印字されているキー(右上の「¥」キーのすぐ左)をタイプすると入力できます。
- 「:」は、私のキーボードで「{ 」や「[」が印字されているキー(「@」の右、「む」と印字されているキーの上)をタイプすると入力できます。
- 「;」と印字されているキーの右側はBackSpace、その右側はEsc。
- 「_」は、「ろ」と印字されているキー(右側のShiftキーのすぐ左側)をタイプすると入力できます。
まとめると、NICOLA仕様配列のJ配列として親指シフト - Wikipediaに載っている図で何も書かれていないキーのところは、タイプすると次のようになります。形をまねして並べてみます(強調部分が、図に書かれていない部分です)。
− | \ BS
、 : Enter
ん BS Esc Enter
ほ ・ _ Shift
文字だけでわかりにくくてすみません。Wikipediaに掲載されている画像の、著作権の扱いを確認するのと、画像をレタッチするのが面倒なので……。
5. 最後に
もっと速く入力するために - 音声にするのをやめてみる
たいていの人は、文章を入力しているときに、頭の中で音声に置き換えてそれを入力していると思います。その音声置き換えをやめると、リミッターが外れてさらに速くなります(これは読書だととくにそうで、全然速度が変わります)。
ローマ字入力だと、いかに指を速く動かしても頭の中でのつぶやきには追いつかないのですが、親指シフトだとへたをすると思考速度に追いついてしまうので、そこがまた壁になります。その壁のせいで、(実際には速い速度で入力できているにもかかわらず)なめらかにタイプできていないと感じてしまうのですが、その〈頭の中の音声の壁〉を超えると、タイピングしているという感覚が薄れて、普通に口に出すのと同じぐらいの速度で入力できます。必要に迫られて議事録系とか速記系の入力をする羽目になったときなどに経験できるかもしれません。
ただ、その域に達しなければならないとは全然思いません。私もふだんからそんなスピードでタイプしているわけではないし。むしろ、あまり懸命に速さを追求せずに、ぽつぽつ打っても、(一文字あたりの打鍵数が少なくてすむので)結果として早く打ち終わっているというのが親指シフトの利点ではないかと思っています。
その楽さが好きで、ずっと親指シフトで入力しています。
頭の体操、指の体操と思って気軽にチャレンジ
前回の記事も含めてここまで長く書いてきましたが、じつは親指シフトにそこまでこだわりはありません。いいと思ったことはけっこう人にすすめる教え魔ですが、親指シフトはそれほどネット外の友人にはすすめていません。
これはひとつには、時間をとるのはタイピングそのものよりも、思考を文章として言語化する作業のほうだということがあります。何か助言をするとしたら、その部分から助言します(そのうちmindmapについての簡単な紹介記事も書きたいと思っています)。
でも、ネット外であまり積極的に紹介しないことのもっと大きな理由は、キーボードの新しい入力方式を習得するのは最初たいへんなので、心理的なハードルが高いからです。身近な人からのアドバイスとしてあまり大変なことをすすめられると、よっぽど上手な伝え方をしないと、トライすることやトライしないままでいることが大きなストレスとなってしまいます。そうしたストレスを与えるようなことは、自分のためにもならないし、長期的にみても結局は相手のためにもなりません。
ただ、こうしたまったく新しい枠組みで指を動かすことを始めると、体と頭で新しいことを憶えられて、頭にいい刺激になります。脳トレとかいうんでしょうか。別の言語を習得するのとはレベルが違いますが、そろばんを憶えるぐらいには頭が柔軟になっていいかもしれません。
そしてもちろん、習得すればタイピングに使う時間と労力が少なくてすむようになります。また、数ある効率的なタイピング方式のなかでは、親指シフトは比較的使っている人が多く、ネットで他の人の話を参考にしながら、あまり不安もなく練習を続けることができます。
というわけで、身近な人たちにはそれほど積極的にすすめないこの入力方式。押しつけがましくならない程度に、私の知らないあなたのご参考になればと思い、この記事を書きました。いやあ、インターネットってほんとにいいもんですね(水野晴郎風に)。